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東京都世田谷区野沢1-1-11


  ふとんについて  

洞窟生活時代から、人は寝るために随分苦労し、火をたき、数少ない毛皮などを掛けたりして、 ささやかなぬくもりの中で睡眠をむさぼり続けて来たのですが、その形態は住む家というものが出来てからも、 貧しい庶民の間には続き、わらや木の葉などを敷き詰めて、その上にむしろやござを敷いて寝ていたのです。
それが明治時代までおよんで、突然の寒波に寝たまま凍死したという例もあります。
また平安時代でも、万葉集などをたどってみますと、貴族階級と言われた人々ですらフスマ (紙や麻絹などの着物)を掛けて寝る程度であったのですが、室町時代になって初めてわが国でも 木綿わたの生産が盛んになって、わた入れの夜着などが考えられるようになり、 それから今日みられるようなふとんの原型とも言える、四角のふとんが出来あがったのです。
とは言っても、敷ふとんは布を袋状にしたものに、植物の葉や羽毛オグソ(麻)、 更には木綿わたなど入れた禅宗の坐具から考え出されたものであり、それぞれ発想の違いみせています。



  木綿わたの歴史  

西暦799年、今の愛知県西尾市に漂着した異人の手によって一壷のわたの実がもたらされ、その後わが国で本格的に栽培され、広く生産されるようになったのは、1352年ころ朝鮮をへて山陰方面から関東地方にまで及んだ異なった種類であり、明治時代になって中国や、その後インド方面から輸入され、今日ふとんわたとして広く使用されているものの殆どは、インド産です。
とは言っても、最近米綿の使用量もかなり多くなってきました。
米綿・・・・・南米で糸向けに栽培されている綿花の中で、太番手のものをふとんわた用に使用しています。



  わたの素材について  

今日ふとんわたとして用いられているものは、圧倒的に木綿わたが多いのですが、その外に、麻、絹、羊毛、羽毛、化合繊などがあります。
その中でふとんわたとしての要素、つまり弾力性、保温性、通気性、吸湿性、排湿性を最も持ち合わせているものは、なんと言っても木綿わたと羽毛です。
中でも木綿わたは、大自然の中で育まれた優れた機能を持ち合わせ、圧縮に対する抵抗力が人体に程よく働き、その回復力の勝っている点では、他に類をみないほど素晴らしく、その上持久力があって経済的でも有り、打直しをすると、思いのままの各種ふとん類に作り上げる事が出来、寝具としてこれ以上のものは、今後生まれないであろうと思います。
というと、これを否定される方もいるかもしれませんが、その方は、上質な木綿わたの上に寝た事のない人といえます。
またとかく最近目先を変えた新製品が矢継ぎ早に出てきますが、これといった良い品は見られず、宣伝文句に惑わされないようにきおつけるべきです。



  木綿わたの寿命  

寝具として最高の条件を持ち合わせ、広く愛用されている木綿わたでも耐用年数があり、それは品質や使用度合い、または日頃の手入れによってそれぞれ異なるのは無論のことですが、総じて繊維に脂肪分の有る間だけであり、およそ10年ぐらいだと言われています。
というと、昔のわたが長持ちしたような錯覚を起こす人もいるかもしれませんが、昔は真綿などを引いて、綿は切れなければ何時までも使えるものだ、という考え方(戦前は、わたは貴重品で、高価なものでした。祖父がわた屋を創めた頃は、わた一本3Kgでこの当たりの土地【現在の東京都世田谷区野沢周辺】が2坪買えたそうです。)が基本になっていたからで、決して今の木綿わたが本質的に大きく劣る事は有りません。
お客様が、店頭に硬くなったおふとんを持ってきて「このふとんは、私が嫁に来るときに持ってきた昔のものだから、良いわただ・・・・」などと、おしゃられるお客様もいらっしゃいますが、愛着があって捨てがたい気持ちも良くわかりますが、木綿わたは植物繊維です、毎晩6〜70キロもの体重で押しつぶし、ローラーを掛けられているようなもので、人間は熟睡していても、一晩に20回以上寝返りをうつといわれ、その損傷の度合いも激しく、たとえ使用せずに置いたとしても、それなりの歳月を経たものは、いかにしても機能の全面的な回復などあり得えないのです。



  ふとんの価格  

わが国においては、前にも述べた通り、室町時代になって木綿わたの生産が盛んになったのですが、しかし一般庶民がそれを十分着て寝られるほど量が多く、安いものではなかった事だけは確かです。
それは明治時代に入って紡績が盛んになって、原綿が中国やインド方面から輸入されるようになってからも、他の物価に比較してみると、高いものであったそうです。
そして嫁入り道具としては多額の出費を強いられたのですが、今日では家具や電気製品などと比較しても嫁入り道具の中では最も安く、その中では絶対なくてはならない物のひとつです。

計数的にみても、一組(関東では4枚)5万円のふとんを10年間使用して、ことごとく使用に耐えられなくなった(あり得ない)としても、1日当たりではわずか13円でしかなく、1枚のふとんにすると3円30銭でしかありません。
ですからふとんは安いものなのですが、一度に出費する金額のことを考えると、つい安いものに手が出がちです。
したがってふとんは、計画的に整えるようにし、安いものは中味(わた)が悪いのだと考えるべきであり、ふとんの生命は、わたにあるのだということを忘れてはなりません。
また最近のふとんは、大きく分けると二つの流れがあります。
ひとつは、木綿わたを主体とした昔からの手造りのものと、もう一つは、使い捨てを主眼とした、化・合繊わたを使用し、機械で作られたものです。



  ふとんの手入れ  

ふとんは前にも述べた通り、質や使用度合いとか、日常の手入れによってかなり異なるのですが、一般的に3年に1回くらい打ち直しをする事が理想とされており、これを俗に千夜一夜の手入れなどと言われますが、少なくても5年以内には行ってください。
なぜなら、それによって何時までも十分に機能が整った状態の上に快い安眠が保たれるからです。



  ふとんわたの静電気  

純綿でしかも上質のものに、最近まれに人体に触れる部分だけが、よじれて筋が出来たり、玉が出来る事があります。
これは決して原綿の質の悪さから起こるものではなく、むしろ使用する寝巻類や、ふとん側やカバーなどによる複合的な静電気の発生によるものだと考えられています。



  わた打ちの歴史  

わが国でわたが生産されるようになって、それを製品化するために、最初は竹弓の弦ではじいていたのですが、1655年ごろ木製の弓が中国から入ってきて、以来その唐弓といわれるもので広くわた打ちが行われるようになりました。
しかし押しかたまったふとんわたを、打ち直しするには随分苦労し、ガリなどという手作業の、非常に労力を要する(道具)が考えられたりしましたが、慶応2年薩摩の島津公が英国から紡績用のカード機を輸入し、これに改良を加えて、明治中ごろには関西以西において、ふとんわたの精製が行われるようになりました。
しかし東京方面は、明治末頃まで弓作りの良さがかわれ、依然弓が使われましたが、一部の製綿業者の中には、紡績用のスカッチャーなどという機械をとり入れたり、またガタなどという機械を考案して使っていました。
が、何もこれらの機械は、わたを粉砕するだけであったので、仕上げでは弓が併用されていました。
大正の末頃に廻切機(まいぎりき)というものが発明され、名古屋以東においては、殆どこの機械となり、今日その原理を応用して製作された、複式機が主役として打直しように使われ、新しいわたは、依然全国的に、りゅう綿機(カード機)が用いられています。



  打直しについて  

打直しは、一般家庭でほこりが出る事から、とかくわずらわしいものと思われがちですが、打直しをする事によって、わたの機能がよみがえるのですから、改めて心する必要があります。
何回も簡単に打直しが出来ると言うことは素晴らしい事であり、それだけいいかえれば耐久性がある証でも有ります。
最近は、側をつけたまま打直しに出す人が多くなりましたが、側をほどき、干してほこりや水分をとって、わたの質を確認してから出すように心がけるべきです。
また大方の人が、ふとんの手入れは秋期にするものだと思い込んでいますが、春期4・5月頃出すのも、工場やふとん店が混み合わないため、早く出来あがる利点があります。
なお打直しの際の目減りは、関係官庁や消費者団体代表との立会い実験でも、5%〜10%ぐらいが基準になっており、質によって異なります。ただし、カード打ちにした場合は、10%〜20%の目減りが有ります。
関東地方では東京を中心にして、打直しは1本4Kg基準となっていますが、新しいわたは、3Kg10枚打ちが標準となっており、それがどのような理由からなのか、大正12年ごろからだと言われていて、その為とかく新しいわた2本で作ったはずのふとんが、打直しをして1本半になって目減りがひどいという錯覚を起こす人がおります。
打直しのわた1本と、新しいわた1本とでは、それぞれ重さが違うのだという事を、覚えておく必要があります。
しかし、地方においては、新しいわた1本も3.75Kg(1貫目)が基準になっているところも多いようです。

  ふとんの寸法  

昔は質のよい蒲(ガマ)の穂をまとめ、その上にござを敷いて寝ていたことから、ふとん(蒲団)の語源もそこから出て来ているといわれていますが、そのためか敷ふとんの寸法は畳一枚の大きさか基本となっています。
しかし考えてみると、人はそれぞれ身長差があり、特にちかごろは若い人たちが大きくなって、古来の既製観念でふとんを作ると、足がはみ出して困るという・話をよく耳にしますか、やはりそれは使う人の身長に合わせて作るべきで、敷ふとんは身長に35センチメートル、掛ふとんも35センチ加えると丁度よい寸法になります。
またふとんの大きさを、三布(みの)とか四布(よの)と幅でいうことがありますか、これは側が小幅の反物であった時の名残りであり、呼称の一布は、仕立上り、約33−34センチぐらいをいいます。

  敷ふとんについて  

寝具の中でいちばん重点を置かなければならないのが、何といっても敷ふとんです。
敷ふとんは四季を通じて一年中使い、その良否は健康管理の上で大きな影響力を持っているのですから、出来るだけ質のよい木綿わたを
使い、厚くしてその中に身を埋めるように横たえることです。
一般にはまだ掛ふとんを重く上にかさね、重量を多くすると温かいと考えている人もおりますが、敷ふとんの比率は、6対4ぐらいと従来いわれてきましたけれども、最近は掛ふとんをより軽くする傾向があります。
また敷ふとんの正しい使い方を意外に知っている人が少ないのですが、縫い合わせが下に向いている方か下部であり、とじ糸の房が出て
いる方が表です。
それと長方形の短い一辺の縫い目のない方が上、つまり枕を置く方で、多少わた入れの際に厚くしてあり、寝心地のよいように仕立てら
れています。
これに昔は房やリポンをつけて、枕印といっておりました。

  ふとん干しについて  

寝具は、就寝中に身体から発散する水分、つまり汗などを吸収しているので、よく干すこどか必要です。
ふとんを干す場合、午前十時ごろから午後二時ごろまてが適当な時間帯であり、といっても真夏の強い太陽光線の直射は出来るだけさけるべきです。
どうしても場所のない時は、一面を1時間か、1時間半ぐらいにするべきで.あまり干しますと、熱によって繊維内の大切な脂肪分が分解してしまいます。
特に化、合繊わたなどは、加工されたウェィブが伸びてしまい、弾力性を失なってしまいます。
またふとんは、干している間に強く叩かず、表面の埃を払い落とす程度にし、動かす事によって織維内に空気をおくりこむ大切な作用をします。
木綿わたの繊維は、ストロー状に中が空洞になっていて、空気が入ると水分か蒸発して、弾力を増すようになっています。
なおふとん側をほどき、洗濯して、わたはそのまま干すことも中間
的なふとんの手入れ方法として考えてみる必要があります。
5キロの敷ふとんを4時間干すと、250から300グラム水分が蒸発するといわれています。

  涼しい寝方  

夏の夜の寝苦しさは、何ものにも増して辛いものですが、それだけに寝具の選択と工夫が大切です。
中でもいちばん神経を使わなければならないのがシーツですが、これは平織りよりもむしろます目織りのものが肌ざわりかよく、またパナマや花ござを敷いて寝るのも気持ちのよいものです。
 身休各部の快適温度
 身体部位 快適温度℃
手部 32
足部 30
肩部 32
駆幹部 36
   
 また枕を水枕に代えてみるのも寝心地のよいもので、特に幼児などにはすすめたいものですが、ただその際大人とは違いますので冷え過ぎないように、タオルなどで温度を調整すると、アセモなど湿疹の予防にもなります。
その外、最近上掛でタオルケットが多くなりましたが、やはり麻や木
綿のちぢれ織りの夏掛ぶとんの方が、はるかに素晴しい感触で、安眠をさそいます。
その際も、ふとんの中味は吸湿性のある木綿わたか最適です。

  寒い時の調整  

近ごろ各家庭で、暖房具が整い、特に上掛が薄く軽いものが好まれるようになりましたが、それだけに突然の寒波におそわれたりすると、大変困ることがあります。
そんな時は、毛布で調整するのが最もよい方法で、毛布はまたカバー
をつけている家庭が多いのですが、冬期はカバーをはずし、直接身体をおおって、足部から放熱しないように注意し、保温することが大切です。
また毛布を買う時は、出来るだけよいものを選ぶようにしたいものです。
なお電気毛布をお使いの方は、脱水状態になることがありますので、使用にあたっては十分配慮する必要があります。

  羽毛ふとんについて  

羽根(普通羽毛と書かれている)ふとんは、高級なものとされていますが、最近は普及率が高くなって来ています。
これは寒冷地に棲む水鳥の羽根が使われていますが、水鳥の羽根は良質で、体温を常に生理的適温に保つ特性を十分はっきりすることから、ふとんの中味としては最適のものといえます。
羽根の種類は、水鳥のカモ、アヒル、ガン、ガチョウなどがありますが、安いものほどユワトリのような陸鳥の羽根が入っており、また同じ水鳥でも胸の蔀分と、背中の部分とで異なりますけれども、最もやわらかなわたのような上質のものは、胸毛でダウンと言い、翼の部分のものをフェザーと呼び、フェザーでも大羽根と小羽根によって違います。
寝具として最高峰の羽根も、木綿わたと同じことで、中級以下のも
のにはやはり機能的に間題があるといえます。

  ふとんのしまい方  

来客用のふとんとが、夏に不要となったふとんは、地方の旧家などでは寝具ダンスなどに入れてしまうのですが、今日のような住宅事情では、どちらでもそんなことなど望むべ〈もない家庭が多いことだと思います。
押入れの中にそのまましまったふとんは、湿気をよび、カビなどが生えることがあります。
これは通気性か悪いためで、いちばんよい方法は、ふとんをよく干した後、ふとん袋かまたは唐草模様の風呂敷に乾燥剤を入れて包みこみ、下にタタキ(プラスチック製のものがある)のようなものを敷いて、押入れの上段に入れてしまうようにすることです。
特に鉄筋コンクリート建築の場合、ふだんでも押入れの側面を板などで囲む工夫か大切です。
そして押入れは天気のよい時などは、部屋の窓と共に開けて風を通して下さい。

  枕について  

枕が変ると眠られないという人が意外に多いのですか、それだけ枕は就寝の上で大切な役割を果たしているといえます。
古墳の中から石枕が発見されたり、その外にも昔は、木枕や草枕などが使われていました。
しかし枕は時代の移り変わりや、生活との関わりなどもあって、いろいろな種類の枕があり、その中で変ったものや、面白いと思われるものに、大名などか使ったといわれる引出しつきのものや、奉公人たちを一本の長い木枕に並んで寝かせ、朝起す時、主人が一方の端をつちで叩いたというものまであります。
今日広く使われている枕は、明治以後のものが基調になっていますが、一般的には日本人は固く高い枕を好み、外国人は低くてやわらかい枕を好むように思われていますけれども、それは敷いて寝るものとの関わりだといわれています。
最近の枕の中味はパンヤ、羽根、パイプ、木片、ソバ殻など多岐わたりますが、頭寒足熟といわれ、熟のこもるものはよくないといわれていて、その点で昔ながらのそば殻が最も熟を吸ってよいのです。
特にソパ殻は、中味だけを売っていますので、自分の好みに応じて自由に作ることが出来ますから、ふとん側の共切れなどで作ってみるのも酒落ています。
なおふとんをよく干す人でも、案外枕を干すことを忘れかちですが、最近医学界での発表で、死ぬ思いをするゼンソクや、鼻炎、アレルギー性の病気などの原因となっているものに、フケを食うチリダニの発生があります。
特に気管支ゼンソクの場合、その50から80パーセントを占めるともいわれていますか、人体からは一週間に約5グラムのブケが出るといわれ、室内や寝具についているフケを食って生きていて、殺虫剤などでは死にがたく、これを撲滅するには、洗濯やふとん干しが最もよい方法だといわれています。
実に身の毛か禰立つ思いのする話ですが、このチリダニ(ヒョウヒダ二ともいう)がアパートの埃の19.3グラム中に、4300匹もいて、その約4分の1が生きていた例かあり、特にフケのつき易い枕やシーツは干すよう心掛けるべきです。 (東京医科歯科大学石川助教授)
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